韓国の鍋料理

韓国の鍋料理といえばチゲですね!キムチや肉、魚介類、豆腐などを出汁で煮込んだものです。チゲは、ご飯や副菜、キムチなどと共に個人ごとに一人分の量の小鍋で供されるが、歴史の浅いプデチゲなど、大鍋で調理し食卓の中央においてみんなで取り分けて食べるものもあります。コチュジャンと粉唐辛子で辛く仕立てたチゲが多いのですが、テンジャン仕立てのテンジャンチゲや清汁仕立てのチゲもあります。伝統的な韓定食の献立では、スープなどと同じ汁物として扱われます。チゲにご飯を入れてクッパにして食べることもあります。日本では朝鮮半島風の鍋料理を「チゲ鍋」と表現することがありますが、朝鮮語の「チゲ」には「鍋料理」の意味をすでに含むため、言葉としては重複していることになります。もう一つの朝鮮半島の鍋料理「ジョンゴル」は、食材を煮る前に美しく切りととのえて浅めの鍋に盛り付ける点と、食卓の中央の大鍋から皆で取り分けて食べる点がチゲとは異なっています。韓国の一般家庭や大衆食堂で供されているチゲには、主に以下のようなものがあります。

  • キムチチゲ・・・発酵の進んだキムチを使ったチゲ。
  • チャムチチゲ・・・キムチとツナ缶を使ったチゲ。
  • テンジャンチゲ・・・朝鮮味噌(テンジャン)で味を付けた辛くないチゲ。
  • プデチゲ・・・ランチョンミートやインスタントラーメンを入れたチゲ。
  • トゥブチゲ・・・豆腐のチゲ。
  • スンドゥブチゲ・・・汲み出し豆腐のチゲ。
  • チョングッチャンチゲ・・・チョングッチャンで味をつけた辛くないチゲ。
  • トンテチゲ・・・冷凍スケトウダラを使った辛いチゲ。

キムチチゲ

キムチチゲは、その名のとおり白菜キムチが主役のチゲで、具には肉類または魚介類、野菜、豆腐などが使われます。キムチと肉類をいため、そこに肉などでとっただし汁を注ぎます。塩・醤油・おろしニンニク・唐辛子粉などで味を調え、ネギ・白菜などの野菜や豆腐と言った具を加えて煮ます。非常に一般的な料理で、店や家庭によって調理法や具材は多彩です。使用するキムチは発酵が進んで酸味が強くなったものでないと、特有の味が出ないとされています。イノシン酸を多く含む炒り子や塩辛などと一緒にいためると、キムチの成分と反応してより旨味が出ます。肉はコクのある豚バラ肉などを使う事が多いです。肉以外では缶詰のツナが良く使われ、チャムチキムチチゲ、またはチャムチチゲなどと呼ばれています。

日本のキムチチゲ
日本では一般的にはキムチ鍋と呼ばれています。日本で紹介されているレシピではキムチと肉を炒めるものが少なく、最初から煮込む場合が殆どです。また、コクを出すためや、辛さを抑えるために味噌を少量加えるものもあります。

テンジャンチゲ

テンジャンと呼ばれる韓国味噌で味付けした、朝鮮半島の伝統的なチゲの一種です。韓国の家庭料理の代表的なものであり、家庭や食堂などでよく食べられています。チゲ用の一人分の鍋の中に水を入れ、牛肉や豚肉、貝類、煮干などで下味をつけ、テンジャン、エホバク(カボチャの一種)やネギなどの野菜、唐辛子、キノコ、豆腐、魚介類など、家庭ごとや地方ごとの具材を加えて煮立てます。日本の味噌汁に似ていますが、煮立たせること、具の種類や量を多めに入れることなどが、味噌汁とは異なっています。

プデチゲ

プデチゲは、肉・野菜・豆腐などといった一般的なチゲの材料とともに、ソーセージまたはスパムに代表されるランチョンミート、インスタントラーメンといった保存食の食材を辛味のスープで煮込んだ大衆的鍋料理です。材韓米軍部隊が多い京畿道議政府市や平沢市が本場とされ、専門店が軒を連ねていますが、。その由来には諸説があり、朝鮮戦争中やそれ以降の混乱期に在韓米軍部隊からの残飯や援助物資・放出物資に唐辛子を混ぜて作られたとも、米軍と補給を融通し合っていた韓国軍部隊の若い兵士が共同生活をする中で広まったともいわれています。1960年代に、おでんを売った店でおつまみで売ったのをきっかけに広まりました。韓国の外食メニューとして一般的であり、現在は日本の韓国料理店でも提供するところが少なくありません。

作り方
肉系のスープに唐辛子粉・キムチなどで辛味を加え、ここで豚肉などの肉、白菜・ホバクなどの野菜、豆腐やトック、として特徴であるハムやソーセージ、缶詰のランチョンミート、インスタントラーメンなどを煮込みます。基本的にキムチチゲと近い料理のため、韓国ではハム・ソーセージ・ランチョンミートなどの象徴的な材料さえ入れば、後は何を入れても「プデチゲ」と見なされることが多いようです。最近の専門店ではインスタントラーメンは、最初から投入されますが、そうではなく最後の「締め」で入れる店もあり、特に本場である議政府市の穴場的な店では締めで入れるところが多く見られます。

スンドゥブ・チゲ

スンドゥブ・チゲは、その名の通りスンドゥブを使った鍋料理です。小型の土鍋などにアサリやシジミを敷き、スンドゥブと肉・野菜を入れて水またはスープを張り、コチュジャン、唐辛子粉、ニンニク、ゴマ油などを使った合わせ調味料で辛味の味付けをして煮込み、最後に生卵を落とします。飲食店ではご飯やおかず類とともに定食として供されます。一般的なメニューであるため、具材や調理法は多用です。肝心の豆腐が「くずした絹豆腐」などになることもあります。スープは上記アサリなど海鮮系のことが多いですが、肉系になることや味噌を加えることもあります。一般的には唐辛子粉で真っ赤に染まった辛いスープなのですが、唐辛子を用いない「ハヤン(白い)スンドゥブ・チゲ」もあります。豆腐以外の具材は豚肉、牛肉、魚介類、野菜とさまざまで、専門店の中にはスンドゥブ・チゲだけでバリエーションをそろえているところもあるほどです。

スンドゥブ
スンドゥブとは、日本の汲み出し豆腐に相当する柔らかい豆腐のことです。豆乳に凝固剤を加えた状態のままのもので、絞らないので水分を多く含み柔らかいのが特徴です。チゲなどの食材とするほか、そのままヤンニョムカンジャン(薬味入りの醤油)などをかけて食べたりもします。スンドゥブの呼称は「純豆腐」の朝鮮語読みとも「水豆腐(スドゥブ)」が変化したものともいわれていますが、定かではありません。ただし現在では漢字表記で紹介されるときは「純豆腐」と書かれることが殆どです。
逆輸入と発展
1990年代、スンドゥブ・チゲは米国ロサンゼルスのコリア・タウンの人気メニューになりました。豆腐が健康食品ブームでもてはやされたことが背景にあげられます。1996年にオープンした専門店「BCD TOFU HOUSE」が米国内にチェーン展開をはじめ、やがて韓国に逆輸入されるまでに至ります。それまで、一部に有名店はあったものの概して食堂の安いメニューというイメージのスンドゥブでしたが、逆輸入専門店チェーンに加えて国産の専門店チェーンも誕生し、競争を展開するまでになってしまいました。もともと食堂などでは単一メニューだったスンドゥブ・チゲですが、専門店ではまずバリエーションが増えました。これはロサンゼルスで広まった際に、ビーフ、ポーク、シーフード、ミックスなどのメニューが一般化し、それが逆輸入されたものでした。またスンドゥブ・チゲは、定食のメインディッシュとして手の込んだものに進化しました。よくあるスタイルでは、ご飯が石釜で炊いた状態で供され、そこからお椀によそって食べます。おこげの残った石釜には湯を注ぎ、スンニョンを作って飲むことができます。また、生卵を好きなだけ入れられるようにしたり、焼き魚を加えるなど品目を増やす店もあります。